医療経営管理セミナー(就職フェア関連)

医療経営管理セミナーを開催

―システム志向の病院マネジメントを提案―


 学校法人・大阪滋慶学園、滋慶医療経営管理研究センターは、「就職フェア2014」(5月12日に開催)に関連して、医療機関や福祉施設の方々を招いて、「医療経営管理セミナー」を5月26日(月)に、大阪市都島区の太閤園で開催しました。このなかで、武田裕・滋慶医療科学大学院大学学長が「平成26年度診療報酬改定の概要とシステム志向の病院マネジメントの提案」と題して、特別講演を行いました。



―医療費抑制へソフトランディング―


 まず、武田学長は、今後の社会保障改革の方向として、少子高齢多死社会における医療・介護のあり方を指摘しました。2025年には、団塊世代が75歳を迎え、「医療費が嵩む大変な時代になる。質を担保しながら、医療費を抑えるなど医療費を最適配分する必要がある。いかにして、ソフトランディングしていくかが重要」と、問題提起をしました。



―かかりつけ医が重要~ゲートキーパーに―


 こうした背景の中で、大病院の一般外来の縮小、主治医機能の評価、そして在宅医療の推進―といった平成26年度の診療報酬改定のポイントを挙げました。在宅医療の推進では、「かかりつけ医の役割が重要となり、患者をしっかりみて、ゲートキーパーになる必要があります」と説いています。さらには、介護を含めて、コミュニティを中心にトータルなケアを提供する「包括的マネジメントによって、医療・介護機能の再編が課題となります」という。



―医療資源の再配分―


 また、診療報酬による機能分化の一環として、「7対1(入院患者7人に対して常時看護師1人以上を配置、病床数では約33万床で最多)、10対1、13対1、15対1など、将来に向けて医療提供体制の構造改革」が示されており、在宅医療への方向性と併せて、武田学長は「今ある医療資源を再配分する必要があります」と指摘しています。診療報酬制度について、英国と米国のケースを紹介、特に米国で実施されている「公的保険による成果主義診療報酬方式」を紹介し、「12項目からの臨床プロセス評価と8項目からなる患者ケア評価」は、「いずれ日本にも導入されるのでは」と予測しています。




―『サイバネティック・マネジメント』を提唱―


 一方、システム志向の病院マネジメントとして、武田学長は、患者中心の医療へのシステム作りとして、サイバネティックスの考え方を導入した『サイバネティック・マネジメント』を提唱しています。「今までのマネジメントは顧客中心のサービス産業の自覚が欠如しているのでは。厳しい環境に向けての備えが必要」だという。

(注)サイバネティックス=米国の数学者・ノーバート・ウィーナーが1947年に提唱。ギリシャ語の技、舵取りを意味する。通信、制御、情報処理を融合・統一的に扱う総合科学。情報をどのように伝え、どのように処理をして、その結果、どのようにコントロールしているかが重要とされる。

 これを医療業務に当てはめると、患者⇒情報収集⇒意思決定(診断)⇒行為(治療)⇒記録(電子カルテ)~という流れになります。そこで、業務処理においては「効率経営と医療の良質機能を両立する意味でも、情報系と勘定系の共通のデータベースが必要になる」というのが武田学長の主張です。



―職種横断的な意思決定―


 病院に求められるシステムとしては、企画サブシステム(戦略、アクションプラン)、実践サブシステム(チーム医療、患者安全部門)、評価サブシステム(主要業績指標)などがある。特にサブシステムにおいて「職種横断的に意思決定をするわけで、CIO(チーフ・インフォメーション・オフィサー)を含めての役割がしっかりできているかが重要」だと課題を挙げています。

 
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