新校舎の地鎮祭~大阪医療看護専門学校が看護学科を増員

 大阪医療看護専門学校(大阪府豊中市刀根山、俣野彰三学校長)は、来春に看護学科の定員を増やすのに備えて、新校舎の地鎮祭を行いました。運営母体の学校法人・大阪滋慶学園の浮舟邦彦理事長、俣野学校長、岡田千鶴副学校長らが参加して、新校舎の完成を祈念しました。


 同校の看護学科の定員は現在40名ですが、来春には倍増の80名に増やす計画です。平成29年度には在校生総数が240名になる予定です。同校は、隣接する独立行政法人国立病院機構刀根山病院と連携するなど、実践的な看護教育を行っています。新校舎は4階建て、延床面積は約460平方㍍となっています。完成は平成26年12月の予定。


 また、姉妹校の大阪保健福祉専門学校の看護学科の1学年の定員が80名、平成25年4月に開校した出雲医療看護専門学校の看護学科の1学年の定員が80名、平成27年4月に開校予定の鳥取市医療看護専門学校看護学科の1学年の定員が80名であることから、大阪医療看護専門学校の80名と合わせると、大阪滋慶学園グループでは来春からは毎年、1学年320名の看護師の養成を目指すことになります。

「就職フェア2014」を開催〜4500名が参加

268事業所と学生が熱心に面談、総勢4500名が参加
―大阪滋慶学園が就職フェアを開催―

 学校法人・大阪滋慶学園(主催)は、「~力強い足跡、未来に向かって~」をテーマに「就職フェア2014」を5月12日(月)に大阪城ホールで開催しました。大阪労働局・ハローワークの協賛・協力、大阪府、大阪市、大阪府看護協会など25機関の後援を得て、今回で10回目の開催となります。


 今回は病院、介護・福祉施設、整骨院・接骨院、保育園など268事業所(昨年は200事業所)がブースを構えて、三千数百名の専門学校生(一部大学生、社会人も参加)との就職説明・面談に応じていただきました。事業所の方々、保護者を含めて総勢4500名が学生の進路に関して、真剣に会話するなど、会場は熱気に包まれました。


―キャリア教育の一環―

 この就職フェアは、各事業所の人事担当者と学生が直接面談をして、求人情報を得るとともに、各業界の現状や将来展望、求められる人材像など把握することによって、学生の自己発見、自己変革を促すことを目的としています。「実学・人間・国際」の教育方針のもと、滋慶独自のキャリア教育の一環でもあります。


―職業教育を通じて社会に貢献―

近藤雅臣学校長

 開会にあたって、大阪ハイテクノロジー専門学校・大阪保健福祉専門学校の近藤雅臣学校長は「職業教育で社会に貢献するのが滋慶学園の使命です。素晴らしい学生に育てたつもりです。事業所の方々は良き忠告を与えていただき、双方にとって実りある一日になることを願っています」と挨拶しました。

浮舟邦彦理事長

大阪滋慶学園の浮舟邦彦理事長は「昨年より3割も多い事業所に出展していただきました。業界と学生とで、何かを学ぶ機会にしていただきたい。学生はキャリア教育の重要性を認識してください」と述べました。


―人生の扉を開いて―

豊田百合子副学校長

 就職フェア実行委員長の豊田百合子・大阪保健福祉専門学校副学校長は「学生にとっては、まさに人生の扉を開けてください。仕事のあり方、見方を学ぶ良い機会です。素晴らしい一日になるように」と開会を宣言しました。


―コミュニケーションできる人材を求めて―

―コミュニケーションできる人材を求めて

 ブース出展されました病院は「優秀な看護師を求めて参加しました。特に新卒の看護師を重点的に集めています。看護師数は一応足りていますが、ワークライフバランスを考えて、採用を広げていきたい」。別の病院は「看護師を求めていますが、当院は新人教育に力を入れています。何事にも前向きでいろんな人々とコミュニケーションできる人物が望ましい」という。


―就職フェアは人材を求める貴重な機会―

―コミュニケーションできる人材を求めて

 民間の総合病院は「まず当病院の存在、特徴、良さを知っていただき、ぜひ実習に来ていただきたい」。病院と介護・福祉施設を運営する社会医療法人では「当方は看護師だけでなく、介護福祉士、理学・作業療法士など広く人材を求めています。その意味から、医療職、介護・福祉職を養成している滋慶学園の就職フェアは貴重な機会です」。

 また、老人ホームを運営する社会福祉法人は「今回初めて出展しました。場所が良かったのか、展示PRに興味を引いたのか、多くの学生さんに訪ねていただき、手ごたえ十分です」と、それぞれ出展理由を話していただきました。


―教育・研修がしっかりしているのが条件―

 これに対して、大阪保健福祉専門学校の看護学科の学生は「立派な病院が多数参加されていますので、数多く話が聞けました。病院の特徴、違いがある程度わかりました。今後の実習先で、実践を通じて就職先を決めたい」。大阪医療技術学園専門学校の臨床検査技師科の学生は「病院に就職するか、検査機関など企業に就職するか、迷っています。いずれにせよ、特徴・特化したところに就職したい」。

大阪医療福祉専門学校の理学療法士学科の学生は「研修プログラムなど教育がしっかりしているところに勤めたい」。大阪ハイテクノロジー専門学校の臨床工学技士科の学生は「ここに来るまでに決めてはいますが、より多くの情報を集めたい。仲間と共に回って、冷静に分析したい」―など、それぞれフェア参加の意義を見出していました。


―学生300名が献血で協力―

―学生300名が献血で協力―

 一方、昨年に続いて、大阪府赤十字血液センターとの共同開催で、地域への社会貢献の一環として“献血”を行い、約300名の学生がこれに応じました。献血に応じた学生は「私は医療職を目指しています。献血を通じて、患者さんのお役に立てるなら、嬉しいと思います」と、素直な気持ちで腕を差し出していました。



「看護と介護の連携授業」をスタート
〜豊田副学校長にインタビュー

「看護と介護の連携授業」をスタート~大阪保健福祉専門学校
―先進的取り組みで、杉浦財団から活動を支援―

 高齢化社会が進む中で、医療・看護と介護・福祉の両分野の発展・あり方は、重要な社会的問題となっています。なかでも、看護と介護の領域は今後ますます「一体化」の方向に進んでいくとみられています。地域医療・福祉を実現していくうえで、病院と介護施設は分担(分業)から連携(協業)の方向にあり、今後増えていく在宅医療における“看護・介護ケアの処方策”など、課題は山積しています。

 こうした課題に向けて、大阪保健福祉専門学校は、かねてから「看護と介護の連携授業」について準備を進めてきましたが、5月中旬から本格的に教育活動をスタート。学校教育では先進的な取り組みとなり、杉浦地域医療振興財団(愛知県)から助成活動の支援を受けました。そこで、先導役の豊田百合子副学校長に、連携授業の目的など、語っていただきました。


―高齢化社会~介護の重要性に着目―

―看護と介護の連携は高齢化社会の大きな課題で、時代に対応したテーマとも言えます。連携授業に取り組むきっかけ、狙い・目的からお話ください。

 「2012年7月に本校に着任(前職は大阪府看護協会会長)したとき、保健、医療、介護など9学科があり、看護と特に介護に着目しました。これだけの学科は宝物のように見えましたが、果たして横のつながりは、ということを意識して、『看護と介護の連携教育』を思い立ったのが、きっかけです」

 「社会的背景として、高齢化社会に直面して、要介護者が増えていきます。例えば身近な問題として、年老いた親が(老人ホームなどの)部屋でポツリとしている姿を想像しますと、寂しくない環境をつくりだすのは、非常に大事なことだと感じました。それを実現するには、看護と介護の連携が不可欠です」


―相互理解が大切~看護職と介護職がスクラム―

―看護と介護の現場での職務上、共通することと相違点は何でしょうか。

 「共通点は一言すれば、一人ひとりの人生、生活を見守るわけで、『個人の生命の尊厳』です。これは本校の教育の基本理念でもあります。相違点については、看護は医療のアセスメント、判断する必要があり、どこが悪いか問題点思考型で、時には緊急を要します。介護は長い目で見て、食事、歩行、入浴、排泄など日常生活を円滑に支援するわけで、自ずと職業文化、習慣、価値観の違いが生じます」

 「その違いをお互いに理解し合うことが大切なのです。違いを理解したうえで、医療依存度の高い要介護者に対して、看護職と介護職がスクラムを組んで協働することによって、患者さんの生活のフィールドを温かく見守ることができます」


―チームでケアを実践~人づくり・教育がカギ―

―医療技術の進歩によって平均寿命が延びて、健康寿命との期間差が長くなる傾向にあります。やむなく障害をもち、介護を必要とする人口が増えますね。

 「だからこそ、看護と介護を含めての“多職種連携の重要性”が高まっています。医療の質を高め、患者さんの安全・安心を確保するには、看護職と介護職が連携して、チームでケアを実践していくことが大切です。そのためには双方の領域を理解して、現場で実践できる人材を育てることが必要です。人のケアを人がするわけですから、何においても人づくり、教育です」


―看護と介護~共通認識を深める―

―連携授業を始めるに当たって、両分野をカバーして教育する、バランス感覚を有する教員、指導者の役割が重要ですね。この間にどのように準備をされましたか。

 「2012年12月から、看護系と介護福祉系の教員全員を対象に、学習会を開催。看護過程と介護過程の共通点と相違点を洗い出し、連携する上での課題、必要な要件を徹底的に討議するなど、共通認識を深めるようにしました。その上で外部講師を招いての勉強会、病院、施設の協力を得て、現場研修も実施しました。結果、教員の意識の変化につながりました」


―地域とも連携~滋慶モデルを構築―

―授業のテーマ、今後の進め方を教えてください。

 「授業は看護学科2年生80名、介護福祉科2年生80名が対象です。主なテーマは、チーム医療の意義~看護と介護の連携の重要性、連携のために必要なチームマネジメントスキル、などです。授業では、講義とともに、事例をもとにグループワークなど討議、発表も行います」

 「教材作りも進めています。できれば1冊のテキストに仕上げたい。看護、介護、それぞれの事例研究も行います。また学生の変化もアンケート調査で明らかにしていきたい。授業の後には、評価も大事ですから。学生には来年2月の卒業研究の課題テーマにもしたい。臨床実践の場として、実態調査など地域の施設とも連携していきたい。果敢に取り組んで、看護・介護連携の“滋慶モデル”を作り上げたいですね」


 大阪滋慶学園グループは6専門学校のもと、医療、介護、保健、福祉人材の職業人教育では約30年、3万人を超える人材を育てています。こうした実績とともに、医療の質・安全の向上を目指して、多職種連携教育に注力している「滋慶医療科学大学院大学」があります。今回の「看護と介護の連携教育」においても、こうした総合力を発揮する機会となります。

 
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